こんにちは、やまけんです。
今回の「土地探しの基礎知識」は、地域地区について!
地域地区とは…
都市計画区域内の土地を21種類に分類したものです。
地域地区の種類に応じて、区域内での建築物の用途、容積率、高さなどに一定の制限が課せられます。
建てられる家の条件が大きく変わってくるため、土地を購入する際にはしっかりチェックしましょう。規制条件を満たすために通常より建築費用が多くかかる、新たに地域地区内に入ったため建て替え前の家より狭い建物しか建てられないといった場合もあります。
代表的なのは防火地域や準防火地域、風致地区、景観地区。
以前のブログでご紹介した「用途地域」( https://www.howz-yamaken.co.jp/news/land/20230829/)も地域地区です。
【21種類の地域地区を見てみよう】
1.用途地域(https://www.howz-yamaken.co.jp/news/land/20230829/)
用途地域とは計画的な市街地づくりを進めるために、土地の用途について定められた13の地域区分の総称です。「住居系」「商業系」「工業系」の3つに大きく分かれます。
2.特別用途地区
用途地域の内部で、さらにきめ細かい建築規制を行うために設定された地区です。以前は文教地区、中高層階住居専用、観光地区など11種類でしたが、現在は市町村が指定する特別用途地区など様々な特別用途地区が設置されています。
3.特定用途制限地域
用途地域外では「特別用途地区」を設けられないため、それに代わるものとして設置。用途地域が指定されていない「非線引き都市計画区域」または「準都市計画区域」に設けることができ、周辺環境に影響を与える恐れがある建物を規制します。
4.特例容積率適用地区
未利用となっている建築物の容積の活用促進を目的とした地区です。通常は隣接する敷地間でしか認められない容積率の移転が、隣接していない建築敷地の間でも認められます。
5.高層住居誘導地区
通常、用途地域内では建物の容積率が400%までと定められていますが、高層住居誘導地区では住宅の容積率の限度が最大600%まで引き上げられます。人口が減少しつつある都心で高層住宅の建設を促進するための区域です。
6.高度地区または高度利用地区
高度地区…用途地域内で市街地の環境維持を図るため、建築物の高さの最高限度を設置した地区です。まれに土地利用の増進を図るため、建物の高さの最低限度を定めている場合もあります。
高度利用地区…低層建築物が多いため土地が細分化されている密集市街地などで、土地を結合して一体的な再開発を行ない、高層建築物を建てられるように計画された地区です。地区内では、容積率の最高限度、容積率の最低限度、建ぺい率の最高限度、建築面積の最低限度が定められています。
7.特定街区
街区の整備を行なうために指定された地区です。区内では一般的な建築規制を撤廃し、建築物の容積率、高さの最高限度、壁面の位置のみ指定。比較的自由に大規模な建築物を建てられるため、都市開発のビッグプロジェクトでよく活用されます。
8.都市再生特別措置法による都市再生特別地区、居住調整地域または特定用途誘導地区
都市再生特別地区…都市再生緊急整備地域(都市再生のために緊急・重点的に市街地の整備を推進する地域)内で、土地の高度利用を狙った自由度の高い建築を誘導するため、用途地域などの規制を外した区域です。
居住調整地域…都市再生特別措置法に基づいて都市再生を図るため、住宅地化を抑制している地域です。地域内では3戸以上の住宅の新改築や、住宅への用途変更、住宅地化するための開発行為などが規制されます。
特定用途誘導地区…都市再生特別措置法に基づいて医療施設、福祉施設、商業施設などの設置を誘導している地区です。地区内の建築物の用途、容積率・高さの最高限度は用途地域の制限より緩和されています。
9.防火地域または準防火地域
防火地域…火災を防止するため特に厳しい建築制限が行なわれる地域です。
準防火地域…火災を防止するために比較的厳しい建築制限が行なわれる地域です。
※防火地域・準防火地域については次回詳しくご紹介します。
10.密集市街地整備法による特定防災街区整備地区
密集市街地で災害の被害拡大を防止するため、地区内での建築行為が制限し、避難道路や公園の設置を進めている地域です。老朽化した木造建築物が密集し、延焼防止や避難経路の確保ができていない地域が対象。地区内に建物を建てる場合は、最低敷地面積、壁面位置、開口率などを満たす必要があります。
11.景観法による景観地区
市街地の良好な景観の形成を図るため、景観法に基づいて建築物の形態意匠の制限などが定められた地域です。都市部だけでなく農村部等も対象で、地域の個性を反映した柔軟な規制や制度を設けています。
12.風致地区
都市にありながら公園・庭園・寺院・神社や豊かな自然が残っているエリアの環境を保全するため、建築規制が設けられた地区です。地方公共団体の条例によって、建築物の高さ、建ぺい率などが厳しく規制されています。
13.駐車場法による駐車場整備地区
自動車交通の混雑解消のため、「駐車場法」に基づいて駐車施設の付置が義務づけられている地区です。商業地域や準商業地域の中で、自動車交通がとくに混雑する地域を対象としています。
14.臨港地区
港湾機能を確保するため、「港湾法」に基づいて建築制限を設けている地域です。港湾管理のために港湾水域と一体化して利用する必要があるエリアが対象で、商港区、工業港区、マリーナ港区などの分区が設けられています。
15.古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法による歴史的風土特別保存地区
京都・奈良・鎌倉などの古都の伝統的環境を保全することを目的として制定された通称「古都保存法」に基づき、建築行為を届け出制や許可制にしている地区です。神奈川県では鎌倉市、逗子市が該当します。
16.明日香村における歴史的風土の保存および生活環境の整備等に関する特別措置法による第一種歴史的風土保存地区または第二種歴史的風土保存地区
奈良県高市郡明日香村の全域を古都保存法の歴史的風土特別保存地区に相当する地区として、現状の環境や景観を変える建築物の建築などを厳しく規制しています。
17.都市緑地法による緑地保全地域、特別緑地保全地区または緑化地域
緑地保全地域…「都市緑地法」に基づいて区域内の緑地を保全するため、行為規制の基準や、保全施設の整備などの緑地保全計画が定められた地域です。区域内で新・改築や土地の形質の変更、木竹の伐採、埋立などを行う場合は届出が必要で、緑地保全計画にそぐわない場合は禁止や制限がかかります。
特別緑地保全地域…樹林地、草地、水沼地の中で、無秩序な市街化や公害・災害を防ぐために保護する必要がある地域、伝統的・文化的意義がある地域、風致景観が優れている地域、動植物の生育地が指定されます。区域内で建築や宅地造成、木竹の伐採、埋立などを行う場合は原則的に届出が必要で、緑地の保全上支障がない場合のみ許可されます。
緑化地域…緑地が不足しているため、建築物の敷地内で緑化を推進する必要がある区域です。「都市緑地法」に基づき、緑化率(建物の敷地面積に対する緑化施設の面積の割合)が定められており、原則として指定の緑化率以下の建物を新築・増築することはできません。
18.流通業務市街地の整備に関する法律による流通業務地区
流通機能の向上を図るため、「流通業務市街地の整備に関する法律」に基づいて地区内での建築などが制限された地区です。
19.生産緑地法による生産緑地地区
農地などを緑地として計画的に残すことを目的とした「生産緑地法」により、市街化区域内の農地や山林を生産緑地地区として指定。建築物の新改築や宅地造成などを行う際には、市町村の許可が必要です。原則として農林漁業を営むために必要な建築や造成以外は許可されません。また地区内では税制上の優遇措置が適用されます。
20.文化財保護法による伝統的建造物群保存地区
城下町・宿場町・門前町など、伝統的建造物群と一体をなして価値を形成している環境を保存するために、市町村が定める地区です。市町村は政令の範囲内で条例を定めることができます。
21.特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法による航空機騒音障害防止地区または航空機「特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法」に基づき、特定空港=成田空港の周辺で騒音航空機の著しい騒音が及ぶ地域を「障害防止特別地区」、特に航空機の著しい騒音が及ぶ地域を「航空機騒音障害防止特別地区」として指定しています。不動産を売買する際に、2つの地区内に該当する場合は重要事項の説明義務があります。
以上、簡単に説明させていただきました!
住宅を建てる際に遭遇する可能性が高い地域地区については、今後の「土地探しの基礎知識」で改めてと詳しく説明します。
中でも重要な「防火地域または準防火地域」については、次回の投稿で早速取り上げさせていただきますね!それでは、また次回。